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力の理論


力の理論

潜在能力を開発する”科学の力”が、驚異のテコンドー・パワーを生む

テコンドーパワーは潜在能力を掘り起こすことから生まれる。
人は通常自己の持つ力の10〜20%しか使っていない。
潜在能力を掘り起こすことによって、体格、年齢、性別に関係なく誰もが
テコンドーパワーを身につけることができる。

ただやみくもに肉体的訓練を重ねればいいというものではなく、
大切なのは、パワーを引き出す理論『力の理論』を正しく把握し、
それに基づいた訓練を行うことだ。

では、その『力の理論』とは何か?

根幹をなすのは、「質量」「速度」という2大要素。
そしてこの2つを十分に引き出すための、
「反動力」「集中力」「バランス」「呼吸」という
力学の原理や人体のしくみを応用した4つの要素。
テコンドーの全ての動きは、この6つの要素によって形成されている。
これを学び、理解することによって技の持つ意味を把握することができる。

では、この6つの要素について詳しく見ていこう。

「質量」
ニュートンの運動方程式(力=質量・加速度)によると、
速度が同じならば力の強さは体重に比例していく。
だが、単に体重があればいいというのではなく、
重要なのは、打撃の瞬間に全体重を打撃点にかけるということ。
それによって、そこに大きな質量を生み出すことができる。
では、どうやって体重を動作の一点に注ぎ込むか?
*ひとつは腰の回転。
大きな面積を占める腹と腰の筋肉がねじられて大きな力を生む。
このとき腰を、攻撃あるいは防御の方向と同じ向きに回転することが大切だ。
身体全体を目標に向け、全体重を集中させることが大事なポイントとなる。
*もうひとつは、身体の上下運動を利用する方法。(サインウエイブ)
膝の屈伸を利用し、身体が上がった波の一番高い位置をとらえて、
打撃の瞬間に体重を注ぎ込む。
自然な動きを利用し、ゆるやかな波を描くように、
身体は常にリラックスした状態を保つ。

「速度」
体重が軽くても、より速い速度をもつことによって大きな力を生み出すことができる。
速度のある動作を身に付ける方法としては、
*ひとつには重心の移動。
重心の位置が高くなれば動作は素早くなり、速度が増す。
ただし重心が高くなるとバランスが悪くなるので
その調節には常に注意が必要だ。
*もうひとつは身体の柔軟性。
これは攻撃距離を大きくし、速度を増すのに役立つ。

最大の力を得るためには
自分自身の動作や力だけでなく、相手の力をも利用していく必要がある。
その要素が「反動力」「集中力」である。

「反動力」
これは力が生じるときの方向性を利用したもの。
これには2種類ある。
*ひとつは相手からの反動力
相手の持つ力を利用することによって、
自分打撃がきわめて小さなものであったとしても
2つの力が合わさることで相手が受ける衝撃は非常に大きくなる。
*もうひとつは自分自身の反動力
自分の身体の中心を軸として力を同時に逆方向に向けることによって、
そこに生じる反対の力を利用する。

「集中力」
相手に打撃を与えようとするとき、目標を小さな一点にしぼり、
そこに力を集中させれば、その効果は極めて大きなものになる。
同じ大きさの力であっても、集中力の程度によって、全く異なった結果が生まれる。
テコンドーにおいての集中力は2つの面で発揮される必要がある。
*ひとつは自分自身の筋肉への集中
長時間の集中は逆に力を弱めてしまう。
集中する時間が短ければ短い程打撃力は大きい。
力を抜いた状態から、徐々に身体中の筋肉を集中させていき、
相手の身体に触れる一瞬に最大の集中力を発揮する。
又、全身の中でも比較的大きな部分を占める腰と腹の筋肉は大きな力を生み出す所なので、
この部分の筋肉を適正に用いることも重要なポイント。
*もうひとつは相手の急所への集中
打撃を加えるべき箇所を確実に把握して、
その目標となる一点に力を集中させる。

「バランス」
体重の移動、素早い動きにはバランスは欠かせない。
身体を常に均衡に保つことによって姿勢は正しい状態に置かれ、
視点が目標から離れることがない。
では、バランスを保つためにはどうしたらいいだろう??
ポイントとなるのはスタンス!
スタンスは常に安定していなければならないが、
同時に順応性がなければならない。
順応性とは、どこに体重をかけるかによって、
スタンスの重心を絶えず調節していくということ。
重心の移動によって、バランスが保たれる。
あと、重要なのは関節の柔軟性と膝のバネだ。
また、打撃の瞬間に後ろ足のかかとを地面からけっして離さないようにすることも、
バランスを保つのに役立つ。


「呼吸」
息を吐くと身体は柔軟になり、息を止めると腹部が緊張し力を集中できる。
つまり相手に打撃を与える時に鋭く息を吐き、その瞬間に息を止めることが重要なポイント。
又、打撃を加えられた時には、息を吐いた状態で呼吸を止めると、
意識を失うことを防ぎ、痛みも抑えられる。
一方、ゆっくりと息を吸うことは気持ちを安定させ、
次の動作の準備に役立つ。
覚えておかなければならないことは、
攻撃または防御の焦点を定めている時は、
けっして息を吸い込まないことである。
これは動作の妨げになるばかりでなく、
集中を失わせ、力の減少を招くことにもなる。
また、試合中に相手に疲労を見抜かれないようにするために、
呼吸を偽装することも練習しておく必要がある。


以上の6つの要素は、1つ1つが独立しているわけではなく、
全ての要素が密接に関連して成り立っている。
この理論は全て、日常の何気ない動作やモノの動きを考えれば納得のいくことばかり。
1つの動きから生じる力を利用し、そこからより大きな力を引き出していくという、
とてもシンプルな考え方
である。
だからこそ、身体の大きさなどの諸条件に関係なく、
誰もがそのパワーを身につけることが可能なのである。
当然の事ながら、理論は実践によって始めて生命を得ることができる。
技術の上達に必要なのは日々の鍛練に他ならない。
ただやみくもに鍛えるのではなく、科学的な基礎を理解した上での訓練だ!

つづく

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